◼︎ コトノハ ◼︎

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恥ずべきこと

 昔のこと。

 「恥ずべきことだから、墓場まで持って行く」

 そう言った女がいた。

 知られたくない、というのではない。そういう自分が「恥ずべき存在だ」という。そう、恥ずかしいというのは、誰かに対して思うことではなく、自分に対して思うこと。

 二人だけの秘め事とし、そのまま別れた。

 まっすぐな彼女のこと、死ぬまで誰にも言わずに行くのだろう。とすれば、あの日のことは何だったのか。二人だけの幻か。

 今も彼女は東京で独りで暮らし、月に一度は実家に帰り、お母さんとお墓参りに行っているのだろうか。